「あかいろうそく」 新美南吉(にいみ・なんきち)

熊太郎


新美南吉作品(1913年(大正2年)-1943年(昭和18年)29歳没)

「あかいろうそく」 いもとようこ・絵 金の星社


 間違った情報による誤解とそれがもとで起る騒動があります。そして、取り巻く仲間たちは人間界の村のようでもあります。なにかしら教訓めいたお話しが隠されているのでしょうが、絵が美しくて、理屈よりも絵の美しさに気持ちがいく絵本です。


 14見開きの絵本です。さるが、あかいろうそくをひろいます。ろうそくは通常白いものなので、さるは、あかいろうそくはろうそくではなくて、打ち上げ花火だと勘違いします。


 しか、しし(いのしし)、うさぎ、かめ、いたち、たぬき、きつね、ろうそくをひろってきたさる。いっぱいいます。


 「打ち上げ花火」について、聞いたことはあるけれど、みたことがない動物たちです。

 好奇心がふくらみます。でも、打ち上げ花火を爆発物ととらえる動物たちです。


 なにせ、絵がきれいな絵本です。

 うつくしいはなびとやらを見たい。やまのてっぺんに集合。やまを登る動物たちの姿は、あとのページにあるしっぽだけの絵と並べて、これは「だれのしっぽかな?」と考える遊びにつながります。


 爆発が怖い。

 火の点火役をくじ引きで決めます。


 その後の展開がおもしろい。

 猪突猛進のいのししくん登場です。こういうポジションをやれる人って、どこの組織でも必要なのでしょう。ばかにされることもあるけれど。


 たくさんのしっぽの絵が素敵です。かめのしっぽがどれなのかはわかりません。

 緊迫感があっていいなあ。

 耳も目もふさいだら、聞こえないし見えません。

 誤った情報を信じる思い込み。とはいえ、実害はありません。話題にはなります。


 あっけない結末でした。

 されど、静かで落ち着いた時間が流れていきます。ろうそくの炎の灯りが温かい。彼らの心を表しています。目標をかなえた心のともしびです。思い出づくりです。


 初出1936年(昭和11年)の作品です。

☆いつも見てくださってありがとうございます♬