対岸の家事 ~これが、私の生きる道!~ TBS火曜ドラマ
2026年4月10日金曜日のNHK朝の番組「あさイチ」に出演された多部未華子さんを見て思い出したドラマです。いいドラマでした。
昨年春に放送されました。そのときの感想記録です。
対岸の家事 ~これが、私の生きる道!~ TBS火曜ドラマ 22:00~22:57
第1話:専業主婦は絶滅危惧種…!?
第2話:専業主婦は贅沢…? エリートパパとの出会い
原作:『対岸の家事 朱野帰子(あけの・かえるこ) 講談社』
俳優:
多部未華子(専業主婦。村上詩穂。娘が、苺(いちご)2歳半ぐらいに見えます)
一ノ瀬ワタル(村上虎朗むらかみ・とらお 多部未華子さんのだんなさん役。かなり優しい性格です)
江口のりこ(長野礼子。こどもふたりを保育園に預けて働いている。
だんなの長野量平(川西賢志郎)は仕事で多忙なようす。
実質ひとりで子育てと家庭のきりもり(物事をとりさばく)をしているように見えます。
江口のり子さんのイメージからすると、未婚で、こどもなし、子育てママを攻撃するタイプの人物像が似合っているような気がしますが、今回のドラマでは逆の立場にある女性を演じています。
気持ちがこもっていてなかなかの好演です。息子が、篤正(あつまさ。4歳か5歳ぐらいに見えます)で、娘が、星香(ほしか。まだ1歳半ぐらいに見えます)
ディーン・フジオカ(中谷達也。妻はアラブ首長国連邦都市型国家であるドバイで働くキャリアウーマン。中谷達也本人は、厚生労働省の職員)。
なかなかおもしろいキャラクター設定で、ディーン・フジオカさんの風貌にぴったりです。
理論的に物事を運ぼうとします。中谷達也は男子で夫ですが、2年間の育児休業中です。娘は1歳ぐらいの佳恋(かれん)です。
子役さんたちが、なかなか芸達者で感心しました。とくに、第2話の多部未華子さんの娘で、2歳ぐらいに見える苺ちゃんが良かった。苺ちゃんがディーン・フジオカさんに立ち向かっていきます。
ディーン・フジオカさんの娘佳恋(かれんちゃん)を守るために、苺ちゃんがディーン・フジオカさんと正面から闘う姿勢を見せてくれました。きっぱりとした態度が良かった。
保育園にこどもを預けて働く女性と専業主婦をしながら子育てをする女性の対比で、『対岸の火事ならぬ、対岸の家事です』。賃貸マンションの隣同士にその女性ファミリー同士が住むことになったのです。
我が家は、共働きの子育てをしたので、第1話を見て家族でけっこう話が盛り上がりました。とくに、江口のりこさんが、働きながら保育園通いをする子育て生活に疲れ果てて、感情のない無表情になり、自宅玄関ドアの前で、下のこどもさんを胸に前抱きしながら手に荷物を持ち、ぼそりと、『ゲームオーバー』と力なくつぶやいたシーンで、うちの家族も同じような体験を何度かしたことがあるので、とても共感しました。いいドラマです。
半世紀前ぐらいは、日本には、専業主婦がたくさんいました。子育ては、専業主婦の仕事でした。
こどもを保育園とか学童保育所に預けると、世間の冷たい目が待っていました。こどもがかわいそう…… とか、なんてひどい親なんだ。そんな対応や反応は何度も受けました。イヤな思いを何度も体験しました。
ところが、長い年月が流れて、時代が180度変わりました。
こちらのドラマの冒頭では、『専業主婦=絶滅危惧種』と、昔とは逆で、働かずに家にいる専業主婦について、バカにするように紹介されています。
第2話では、父子家庭みたいな状態でディーン・フジオカさんが登場します。ドラマでは、子育てをしているだれしもが、『孤独』です。一日生活していても、おとなの話し相手がいません。
子育てにおいて、ディーン・フジオカさんは、こどもに攻撃的です。
厚生労働省職員で、2年間の育児休業中のディーン・フジオカさんが、つぶやきます。
『働いているほうが楽だった』
たしかに、職場には、上下関係とか、仕事をするための根拠とかルールに基づく、『秩序』があります。そりゃ、働いているほうが楽です。
子育てはただひたすら、こどもを生かすことに集中です。気が遠くなるほどの忍耐の積み重ねです。
ちびっこの事故は、あっという間に起こります。防ぐことはたいへんだし、事故が起きた時の対応もあらかじめ考えておかねばなりません。生きるか死ぬかの話です。いっぽう仕事は、業種にもよりますが、損か得かの話で済みます。人の生き死にまでいくことは、たいていありません。
第3話:"肩代わり"で問題解決…??
今回のお話では、なかなか重たい項目がいくつか提示されました。
じっさいに、働くことと、子育てを両立させようとすると、心がゆがむような苦痛を味わうことになります。
こどもが急病になったときに、急遽(きゅうきょ)休むことになった社員の仕事を肩代わりした社員に、『肩代わり手当』という調整手当が支給されます。
大企業でないとできない制度でしょう。
ただし、ドラマにもあるように、頼まれるほうはいつも同じ人で、頼まれた人は、自分の予定がくずれるのです。ドラマでは、若い男性社員の愛犬が病気で死にそうになっているときに、「肩代わり手当」での代替仕事の依頼があり、同社員はやむなく受け入れています。彼は泣きます。彼にとって、愛犬は家族なのです。
こどもが急病になったときに、どうしても仕事を休むことができなくて、お隣の専業主婦に病気のこどもや、病気ではないが、江口のりこさんのふたりいるうちのもうひとりのこどもを預かってもらう(母親は、病気のこどもを病院に連れて行く)。そういうことがたびたび重なって、隣人づきあいがおかしくなっていく。
さらに、預けるほうが、こどもの預かり賃を専業主婦に渡すという厳しい話になっていく。(劇中にもありますが、こどもの預かり賃というお金を受け取ると、預かるほうに、『責任』が発生します。預かるにあたってお金が動くなら、『契約書』をつくっておかないと、事件や事故があったときに相当にもめます。ドラマでは、おたふくかぜが治るまでの間のこどもの預かり賃が、8万円でした。1日1万円プラスアルファということだろうか。「ベビー預かります」の商売になってしまいます。
命を預かるのは、責任が重い。
第4話:持つ者は持たざる者の気は知らず?
病院の若奥さんが、こどもができなくて妊活(にんかつ。子づくりのあれこれ)をしていて、姑さんが(しゅうとめ。だんなさんの 母親)、早くこどもを産んでくれと嫁をせかすわけです。うっとうしいことですな。
そんなことで悩んでいる若奥さんを中心にして、彼女の苦悩が浮き彫りにされます。
そして、彼女の本当の気持ちは、結婚して辞めてしまった保育士ですが、結婚してからも続けたかったのです。
未婚の人(こどもがいない既婚の人を含む) VS 子持ちの女性 という図式があります。
表面上は問題ないようなつきあい方をしていても、こどもがいない女性は、こどもがいる女性に攻撃的な対抗意識をもっています。敵対心が現れたシーンがありました。
表では平静であっても、相手がいないところでは、子持ちの女性を攻撃します。人間の表の顔と、裏の顔があります。いやですなあ。
第5話:子供の将来は親の責任払い?
共働きの子育てで、夫が、家事に協力してくれないことについて、妻が猛烈に怒る(いかる)話です。ドラマのなかで、江口のりこさんが、夫の川西賢志郎さんに、猛烈にくってかかります。それを見ていたうちの奥さんには大うけで、奥さんは、そうだそうだと吠えて(ほえて)いました。横で見ているだんなのわたしは恐縮です。されど、うちら夫婦にとってはもう35年ぐらい前の話です。反省しております。
緒形直人さんが暗い雰囲気で、多部未華子さんの父親役を演じます。
多部未華子さんのふりかえりと考察です。多部さんが女子高生、三人家族だったころのことです。
父も自分も、専業主婦ひとり(母親)に家事を押し付けた。繰り返しますが、父も娘も、家事はすべて母に押し付けた。そして母は、若くして病死した。家事は、専業主婦をしている母親がやるのが当然だと、夫も娘も思い込んでいた。専業主婦をしている母親に感謝する気持ちが、父と娘、ふたりともになかった。
第6話:“(女性が)働かない”はダメ?人生の選択肢
今の時代、女性は、専業主婦ではだめです。女性は、仕事も育児も両立させて、社会活動に貢献してくださいというメッセージがあります。
それに対して多部未華子さんが、自分は、働かないのではなくて、ふたつのことを両立させる能力がありませんと反発します。働けないのです。能力的に、家庭と仕事の両立ができないのです。
第7話 認知症に…? 気付いた家事の意味
さんざん苦労してきて、認知症になってしまう。がんばったのに…… という人間の悲しみがあります。
ディーン・フジオカさんが、正論を吐きます。毒がありますが、言っていることは正しい。そして、厳しい。なのに、ディーン・フジオカさんの奥さんは自分の会社の部長と不倫をしているようです。ディーン・フジオカさんが、まっすぐでまじめなだけに、かわいそうに見えます。
江口のりこさん宅もたいへんです。だんなさんが鹿児島転勤です。江口のりこさんは、家族全員の幸せを思って、だんなさんを単身赴任にはさせない。自分は、今の仕事を辞めて、こどもふたりもいっしょに鹿児島へ行くのだという決意を、ディーン・フジオカさんに対して表明されました。
第8話:気持ちのすれ違いは災いのもと!?
①専業主婦というポジションを強く否定する謎の若い女がいます。髪が長くて、目つきが鋭くて、犯罪者のような暗い目をしています。
②ふたり目のこどもをつくろうか、つくりたい、されど…… お金のこともありますし、毎日の生活をどう送っていくか(夫婦の家事や育児の分担など)も負担になります。
③多部未華子さんとディーン・フジオカさんが、親密なので不倫を疑われます(じっさいは、そんなことはないのです。ディーン・フジオカさんは、人工知能ロボットみたいな人格設定です。恋の相手にはなりません)
ディーン・フジオカさん夫婦は、契約結婚だそうです。お互いに男女の愛情はないそうです。ディーン・フジオカさんが、子づくりの行為は、『作業』と言われたので、唖然(あぜん。驚き、ショック)としました。
第9話:専業主婦、育休いただきます
すったもんだがあって、多部未華子さんがこどもを連れて家出です。行き先は、田中美佐子さんのお宅です。
なんというか、とくに団塊の世代にいる男性に対する不快感とか抗議があります。
男尊女卑の世界観で人生を送ってきた世代です。女・こどもに思いやりの心がない。バス停で、母子に、年配の男性から、『ベビーカーをたたんでバスに乗る用意をしなさい』という声かけがあります。
なんというか、ベビーカーをもって、バスに乗るもんじゃないというように聞こえる年配男性からの声かけでした。年配男性には、バスに乗る母子の乗車行為を手伝う気持ちは、いっさいありません。
妻を家政婦のように扱う世代の男たちです。
男の接待をすることが女の役割だと誤解されています。
女を自分よりも一段低く見るのです。男は女より偉いのです。
古い感覚と価値観です。
最終話(第10話) これが私の生きる道
織田梨沙(おだ・りさ):暗い雰囲気のシングルマザー。あかちゃんの父親ははっきりしない。SNSで精子を手に入れて妊娠して出産したそうです。
①父と娘の確執(かくしつ。意見や考えを譲らない)があります。多部未華子さんです。
同じく、母と息子の確執があります。ディーン・フジオカさんです。
②共働き家庭における夫の転勤と、退職して夫の転勤についていくという妻の不本意な意思決定があります。
③孤独なシングルマザーが、育児に悩んで、ネグレクト(育児放棄)に陥っています。(おちいっています)
最終話です。
これまでにばらまいて、すったもんだやってきた伏線(ネタ)を、いっきに良い方向で回収しました。
内容は充実していたし、言動がおもしろく、爆笑することもありました。
みなさんお疲れさまでした。第1話からずーっと見てきて、楽しみました。いいドラマでした。
こどもに対する親の役割です。
こどもに、ちゃんとごはんを食べさせること。
こどもが安心して眠ることができる家を提供すること。
さしあたって、そのふたつができれば十分だと、わたしは思います。
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