書いてはいけない 日本経済墜落の真相 森永卓郎

熊太郎

               

書いてはいけない 日本経済墜落の真相 森永卓郎 三五館シンシャ(さんごかんしんしゃ)

 わたしは、著者のことをほとんど知りません。(この本を読んだ昨年秋には生存されていました。ご本人は、今年、2025年1月28日にご病気で亡くなりました。ご冥福をお祈りいたします)

 森永卓郎(もりなが・たくろう):経済アナリスト(分析家)、1957年(昭和32年)生まれ、67歳。2023年12月にがんであることを公表した。


 『まえがき』に、本当のことを言ったら、瞬時にメディアに出られなくなるとあります。

 がんになったから、覚悟を決められたということもあるのでしょう。

 

『第1章 今はもうなくなった某芸能事務所』 

 芸能事務所幹部による青少年に対する性的加害行為のことが書いてあります。

 人事権をもつかなり年上の男性が、権力関係において支配下にある少年たち多数に対して、異常な性的加害行為をしたのです。


 わたしは、大きな組織の上層部にいる人に、いい人はいないと思っています。組織の上層部にいる人の役割は、利潤の追求という目的を達成するために、自分より下の地位にある人間を将棋の駒のように動かしたり、扱ったりすることが仕事です。

 人情を排除して、非人間的な面を求められることもある立場です。AI(人工知能)ロボット的でもあります。ふつうの人なら、ストレスで気持ちがつぶれます。

 大きな組織には派閥があって、派閥間競争に勝ったグループが、権力を手に入れる(ポスト。地位に就く(つく))という構図と現実があります。その争いに、「正義」があることは少ない。あるのは、「損か得か」です。


 そして人は、見かけとは異なる面をもっています。同じ人にも光と影があります。まさかあの人が、そんなことをするのかという変な性癖をもった人もいます。

 そんな人が権力をもつと、やっかいなことになります。パワハラやセクハラ行為があります。


 勉強ができる頭のいい人たちは、事件や事故が起きたときに、自分や自分たちの都合がよくなるように、何も起きていない、何も起こらなかったという状況を想定することができる人たちです。


 人の気持ちや命よりも、自分たちの利益を優先することが、資本主義とか、社会主義、民主主義だと思っている人がいます。


 マスコミ(マスメディア)は、正義ではありません。人心を誘導する力をもっているコワイ組織です。


 カリスマ型人間がいます。生きている神さまです。生き神さま的立場の人のそばに、人がたくさん集まってきて、彼あるいは彼女と組織に心理をコントロールされて、組織の上層部にいる一部の人間だけが得をするシステムを構築します。

 古代卑弥呼(ひみこ)の時代から続く人間界のありようです。人間界には、天才的な詐欺師(さぎし)がいます。そこに(彼や彼女、そして、組織に)お金が集まるのです。


 日本には、『長い物には巻かれろ』ということわざがあります。(自分よりも強い相手にはさからわない。そのほうが自分にとって得になる)。

 『放置』が、モンスターを育てて、のさばらせた。モンスターをかばう身内である親族がいた。利益がからんだ関係者たちが口をつぐんだ。(黙った)。


 2003年7月東京高等裁判所判決:加害者と事務所による名誉棄損で出版社を訴えた裁判の判決は、加害者による性被害を認めた。民事事件だった。

 2004年2月、最高裁が上告を棄却。高裁の判決が確定した。明らかに刑事事件に該当する事件だった。

 警察は動かなかった。マスコミは騒がなかった。

 以降も性被害は続いた。

 おぞましい。(ぞっとする。不気味(ぶきみ))。


 芸能界だから、そんなこともあるだろうで、見すごされたのか。

 それに耐えて、売れるのが、芸能人の仕事ぶりと判断されたのだろうか。

 なんともひどい世界ですが、一般企業で同じようなことがあってもおかしくはありません。


 事務所のタレントは、まじめで、努力家で、人間性も豊かだったとあります。

 人間のまっすぐな心がゆがめられています。ひどい。

 性加害を意図的に表に出さない、『共犯者、共犯組織』があります。さらに、それぐらいいいじゃないかという意識もあります。鬼や悪人がいます。日本人社会にありがちな傾向です。

 人間の(日本人の)もつ闇の部分が、イギリスの放送局によって(外国人によって)暴かれて(あばかれて)います。日本人社会によくある、『同調圧力』です。だれかを助けるために、だれかをみんなでいじめるのです。自分たちの反対勢力を徹底的に叩く(たたく)のです。犠牲者がいます。まるで生贄(いけにえ)のようです。


『第2章 ザイム真理教』

 財務省のことが書いてあります。

 『税金』の話です。

 ときおり、税収が増えたと、いいことがあったかのようなニュースが流れます。

 税収が増えることは、本当にいいことなのだろうか。

 喜ぶのは、税金徴収とそれをもとに予算をつくたり、執行したりする関係者だけではなかろうか。


 財務省という組織の体質は、芸能事務所と同じ、カルト教団(教団の上層部が、信者から財産を搾取(さくしゅ。ぶんどる。しぼりとる)する)と同じというような書きぶりです。

 

 2014年(平成26年)4月に消費税を5%から8%に上げたとたん、経済は冷えた。アクセルを踏みながらブレーキを踏んだようなものだった。

 

 いろいろ書いてあります。

 内容は、国から(財務省から)、補助金(利益)を受けている有名人・有名企業は、国の(財務省の)味方である。(だから、増税に賛成する。利益をもらったお返しに、増税をPRするための広告塔の役割を果たす。もちつもたれつ)ということです。

 そして、財務省の方針(増税)に反対する個人や法人には、税務調査に入って、不正があったとして、税金を追加徴収して、さらしものにするという制裁を課すのです。税務職員には、裁量権があるので、グレーゾーンにあたる行為に対しては、特定の意思をもって、いやがらせが合法的にできるそうです。


 お金と人事の権力をもっている幹部や特定の職員が頂点に立って、政治家も国民も自らの支配下に置こうとしているのです。(なんだかすごい話です。極端な表現もあるような気もしますが……)

 

 財務省内では、増税を『勝ち』、減税を、『負け』と呼ぶそうです。

 『勝ち』を続けた人が、天下りができて得をするそうです。天下りができる人の数はそれほど多くはないらしい。(そこまでして、お金と地位が欲しいのか)。

 

 著者は、景気上昇のために、消費税の減税を強く訴えています。

 景気を良くして、所得税の税収を増やすことが社会を良くすると判断されています。

 増税に代わる保険料の引き上げは、邪道(じゃどう。正しくないやりかた)だと主張されています。


 83ページに、『高齢者は年金をもらいすぎている?』という項目があります。

 わたしは、年金は、長生きをした人が得をする制度だと思っています。こまかくいえば、年金をもらう前に亡くなれば、納めた年金保険料はパーになるし、超高齢まで生きれば、納めた年金保険料よりも得をします。

 基本的には、年金制度は世代間の支え合いですが、ふつうに考えると、貯金的感覚で、自分が何十年間もかけて毎月納めた年金保険料という貯金を、歳をとって働けなくなったから食いつぶしていくという体感があります。

 わたしはまず、これまでに自分がいくら年金保険料を納めたかを計算します。サラリーマンは給料からしっかり各種税金も各種保険料も差し引かれます。

 次に、事業主負担がいくらだったかを把握します。合計の年金保険料をこれから先、何年生きたらペイ(消化、消費、元をとれる)できるかを計算します。事業主負担については、事業主が支払った年金保険料(個人が払う額と同額)ですが、わたしは、朝早くから夜遅くまで働いたサービス残業(無料奉仕。タダ働き)の分や仕事関係で自腹を切った自己負担分が事業主負担分だという理屈で自分の気持ちを納得させています。

 収めた合計額は、預貯金として預けていれば利子がついていたと仮定して、けっこう長く生きないと元は取り戻せません。

 

『第3章 日航123便はなぜ墜落したのか』

 すごいことが書いてあります。映画にできそうな内容です。

 御巣鷹山(おすたかやま)に日航ジャンボ機が墜落して大事故になったとき、わたしは、帰省した九州福岡の実家でその時、そのテレビニュースを見ていました。

 夕方のニュースでした。自分も飛行機で帰省をしていたので、他人事とは思えませんでした。大きなショックを受けました。


 速報があったそのときは、たしかまだ、事故があったらしいジャンボジェット機の機体がどこにいるのか見つからないという報道でした。(自衛隊が墜落現場を特定したのは、公式発表で、翌朝4時39分とされている)。

 ところが、それはウソだったと本に書いてあります。機体は、墜落直後に見つかっていた。自衛隊機の小型ジェット機が二機、ジャンボ機の後ろを飛んでいた。米軍機もすみやかに現場に到着していた。米軍のヘリも救援に駆け付けた。しかし、救出活動にストップがかかった。


 そんな恐ろしい話が書いてあります。さらに、事故原因は、その後公表されたジャンボ機の機体後部にある圧力隔壁が破損したことによるものではない。圧力隔壁の破損が、過去の尻もち事故の修理に欠陥や問題があったのではない。

 そのとき自衛隊が実験だか練習だかで、なんとか(可能性として、「対艦誘導弾」)を発射したら、それが、偶然日航ジャンボ機の尾翼のまんなかあたりに当たってしまったそうです。だから、自衛隊はあわてて、2機の小型ジェット戦闘機で乗客乗員500人以上が乗ったジャンボ機を追いかけたのです。

 そんな話、初めて聞きました。さらに、そのことに引き続いて、ひどい話がどんどん書いてあります。乗客乗務員の命は、国家の不祥事を隠すために犠牲になったのです。救出活動をすみやかに実行すれば、助かった命があった。


 1985年(昭和60年)8月12日18時12分発日本航空123便羽田→伊丹。18時56分群馬県にある御巣鷹山の尾根に墜落した。乗員乗客524人中520人が死亡した。

 読んで、かなりショックを受けました。政府を始め、権力者たちはひどいことをします。そして、報道機関もグル(悪だくみの仲間)です。


 裁判は、法律論で結論付けられる。人間の感情は度外視される。どがいし:無視される。


 日航ジャンボ機は、神奈川県にある横田基地に緊急着陸したかった。

 だれかが、あるいは、どこかの組織が、その願いをはばんだ。

 横田基地への着陸をあきらめたジャンボ機は、長野県内にあったレタス畑に着陸を考えた。それもかなわなかった。

 

 証拠隠滅のために、自衛隊の特殊部隊が、証拠を焼いた。(第4エンジン)。

 

 ジャンボジェット機に備え付けられていたブラックボックス(ボイスレコーダーとフライトレコーダー)を調べればわかるが、非公開となっている。情報開示をしない。もし公開しても、改ざん(変更)された情報が発表される可能性がある。

 そんなことが書いてあります。


 結局、権力者と権力を持つ組織は信用できない。

 彼らは、自分たちの都合のよいように、歴史を書き換えてしまう。(外国ではありそうなことです)。

 

『第4章 日本経済墜落の真相』

 歴史が流れていく中で、衰退していく日本企業の経済活動を解説されています。

 日本が繁栄を誇った1980年代(昭和55年代)がありました。

 日航ジャンボ機墜落事故が、1985年(昭和60年)8月12日です。

 同年9月22日プラザ合意(ニューヨークにあるプラザホテルに先進5か国の代表者が集まって、日本円の急激な円高をもたらす合意がなされた。1ドル240円台が、1987年年末に120円台まで円高になった。日本の輸出商品の現地価格がとても高くなった。(円高は、日本経済にマイナスの影響を与える)。輸出総額が年々減っていった。


 1986年(昭和61年)9月2日に、日米半導体協定が締結された。(わたしは、この部分を読んでも理屈を理解することができませんが、世界シェア50%を超えていた日本の半導体産業は、このあとぼろぼろになったと書いてあります)

 日航ジャンボ機墜落事故の原因をボーイング社に押し付けた反動(反作用)として、日本は米国の要求を飲んだという理屈立てになっています。

 読んでいて、なかば信じられないのですが、現実には、そういうことってあるのだろうなあという気分になります。

 責任は取りたくないけれど地位と名誉とお金が欲しい人が責任者になっているという構図です。あれこれ、策略を考えて、自分や自分の組織だけのために作戦を立てて実行する人です。

 著者は、政府とか、国の幹部職員、日銀のやりかたを批判しています。

 

 読み終えると、もう日本の未来はだめなのかなあと、元気がなくなる本でした。