永遠とは違う一日 押切もえ

熊太郎

2016年(平成28年)7月に読んだ本の感想記録です。

永遠とは違う一日 押切もえ 新潮社


 著者はモデル、タレントさんでもありますが、小説作品が優れている(すぐれているす)と新聞記事を読んで作品を読み始めました。本の帯には、女性の心情を掬い上げる(すくいあげる)連作短編集とあります。


「ふきげんな女たちと桜色のバッグ」

 モデル事務所マネージャーの東山路代27歳とモデル咲子19歳の悪戦苦闘です。

 面白い。作者でなければ書けない世界です。

 作者がマネージャーの立場で書いた1本です。

 最初はくだらない、両者とも仕事をやめてしまえと評価しながら読んでいましたが、途中から逆転してかなりいい展開でした。

 やっぱり想い(おもい)がこもった気持ちが大事です。話しづくりがうまい。苦労は報われる(むくわれる)ときがくる。

 ラストで肝心なことを書かなかったことが成功しています。読者が余韻にひたって考える部分だからです。


 良かったセリフの趣旨などです。「付き人みたいになるな」、「化けた」

 わからなかった単語として、「(バッグの)マチ:縦、横、幅(マチ)」



「しなくなった指輪と七日間」

 読み終えてほっとしました。良作です。

 前作短編と重なる部分があります。こんな調子で最後の短編までつながりがあるのでしょう。楽しみです。

 30代男女のなかなか結婚しない、結婚できないパターンです。別れそうで別れない。別れられない。


 「7BOYS」という男性歌手グループが核になって、彼らのお世話をしながら収入を得たり、夢を描いたりしている人たちの日常生活と仕事ぶりです。


 良かったセリフの趣旨などです。「ここは戦場(テレビ界、芸能界というのは一般人から見ると理解しがたい)」、「みんなが味方じゃない」


 わからなかった単語として、「スタイリスト:ファッションの指導、助言をする人」、「マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックのカボションリング:なんか豪華な指輪のことのようです」、「祐天寺:ゆうてんじ。東京目黒区内の地名」、「モレスキンの手帳:イタリア・モレスキン社の手帳。ピカソやゴッホも愛用したそうです」、「インスタグラム:スマホのアプリ。短時間動画」



「抱擁とハンカチーフ」

 本短編は絵画、色彩にこだわりながら物語を文章化してあります。1枚の絵を文章で表現するようなものです。

 内容は理屈っぽいかな。


良かったセリフの趣旨などです。

「描き手は、絵の画面から鑑賞者へ何を伝えたいのか」



「甘くないショコラと有給休暇」

 幼馴染の3人の女性が山形県内を旅するわけですが、この物足りなさはどうしてだろう。読み手のわたしが男性だからだと思います。

 女性心理を扱った小説ですから、女性の方が読まれると共感されるのでしょう。

 3人寄れば、ふたりがけんかになる。もうひとりが仲裁に入る。その繰り返しです。

 

 良かったセリフの趣旨などです。「刺激とか成長とか、みんなに必要なものなの?」、「精神崩壊」

 わからなかった単語として、「東京ミッドタウン:六本木の大型商業施設」、「アソート:各種詰め合わせパック」



「バラードと月色のネイル」

 途中、意味がとれなくなって、ページを幾度か戻って読みなおして、それでもわからなくて、先に進んだらわかりました。

 そういうオチをもってくるのか。まあ、ありうることです。


 わからなかった単語として、「モヒート:ラムベースの冷たいカクテル。キューバのもの」、「ショコラ:高級感のあるチョコレート。フランス語」



「失格した天使と神さまのノート」

 前の短編と、この短編が、他の短編とのつながりがぎこちない。うまくつなげていません。

 キーワードは「受容」ですが、つかみきれていません。ここは、おめでとうと笑い合う場所ともありますが、そうでもありませんと読み手は深く考えます。


 良かったセリフの趣旨などです。「24時間、365日ずーっと働いてきたというようなセリフ(仕事はそういうものと共感しました)」